製缶板金加工とは
製缶板金加工とは、鉄やステンレス素材の厚い金属板に対して切断、曲げ、溶接などの加工を行い、立体的な製品を作る加工方法のことです。例えば、食品工場の配管パイプや、タンク、装置の筐体などのような製品は、製缶板金加工によって製造されています。
製缶板加工と板金加工の違いとは?
製缶板金加工は、主に「製缶加工」と「板金加工」に分かれます。
板金加工も、金属板に対して、切断、曲げ、溶接などの加工を行いますが、製缶加工と板金加工では、扱う金属板の厚さが異なります。
「板金専門業者」は2.0mmもしくは、1.5mm以下を扱い、金属板を中心とした素材を中心に、レーザー、プレス、ベンダーなどの加工機を使用します。
対して、「製缶専門業者」は3.0mm以上の板厚の加工が主であり、素材は金属板に限らず、条鋼や配管材も多く使用し、機械加工品も部材として使用する傾向があります。
また、製缶と板金どちらも取り扱うような業者は、その分類を板厚6.0mmを境にすることもあります。(※この数値基準は企業によって異なり、明確に決まっているものではありません。)
製缶板金加工の工程
製缶板金加工は、主に以下のような工程で加工がおこなわれます。
①切断・抜き加工
②曲げ加工
③溶接加工
④穴あけ・タップ加工
⑤研磨加工
⑥表面処理加工
それぞれの工程について詳しくご説明いたします。
①切断・抜き加工
切断・抜き加工は、平面の板材から必要な形状の分を切り抜く加工のことです。通常、ファイバーレーザーなどのレーザーで板をカットするレーザー切断機や、タレットパンチなどの板金を打ちぬくことができるプレス加工機を用いて、切断・抜き加工を行います。
②曲げ加工
曲げ加工では、さきほどの切断・抜き加工において必要な形状にした平面の板材を押し曲げて、立体形状にしていきます。曲げ加工では、上の写真のような「プレスブレーキ」とよばれる板を曲げる機械を用いて、人と機械の共同作業で板を曲げます。写真のようにプレスブレーキの中に板を挿入し、ダイと呼ばれる受け手側の金型の上に板を設置します。その板の上から、先端のとがった金型を板材に押し当て板を曲げます。
なお、パイプのような筒状形状の製品を作る場合は、ベンディングロール機と呼ばれる板を筒状にする機械を用いて製作します。
③溶接加工
続いて、①②で加工した部材同士を溶接して、立体構造物へと組み立てていきます。溶接加工には様々な種類があり、材質や目的に合わせて最適な溶接を行います。
製缶板金加工では、主にTIG溶接などのアーク溶接で溶接を行うことが多くなります。TIG溶接は、使用する電極の材質がタングステンのため、アークの発生が安定します。このため、作業者は母材に与える熱量を的確にコントロールでき、安定した溶接が可能となります。その結果、細かい部分の溶接などでもTIG溶接であれば溶接可能となります。
④穴あけ・タップ加工
部材に下穴をあけ、そこにタップ加工と呼ばれる加工を施します。タップ加工とは、穴にタップと呼ばれる工具を差し込み、その穴にネジが入るように加工することです。
⑤研磨加工
研磨加工では、組み立てた部品の表面を磨き、表面を滑らかにします。研磨加工には、装置を用いて人の手で磨くバフ研磨や、金属に電気を流して磨く電解研磨などがあります。
⑥表面処理加工
部品の表面にメッキ加工や塗装を施します。部品表面に表面処理を施すことで、製品に耐食性や導電性・耐熱性などの特性を付与します。ただし、ステンレスの場合、あまりこのような表面処理加工を行わないです。
まとめ
当記事では、製缶板金加工の用語の解説や板金加工との違い、加工工程についてお伝えいたしました。
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