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点検歩廊とは?鋼材選定から設計・製作までポイントを解説!
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点検歩廊とは?鋼材選定から設計・製作までポイントを解説!

点検歩廊

点検歩廊やキャットウォークは、高所での作業やメンテナンスを安全に行うために設置される通路です。これらの通路に使用される床材には、エキスパンドメタルや有孔鋼板などがあり、用途や設置環境に応じて選定されます。また、滑り止め効果や清掃性、採光性といった機能性が重要視される一方、施工性やコスト効率も考慮されます。本コラムでは、点検歩廊・キャットウォークの設計・製造・据付におけるポイントについて詳しく解説します。

 

点検歩廊とは?

点検歩廊(てんけんほろう)とは、別名は点検回廊やキャットウォークとも呼ばれますが、高所での作業や点検・メンテナンスを行うために設置される通路を指します。もともと「キャットウォーク」は「猫の通り道」という意味を持っており、狭い通路がまるで猫が高所を渡り歩く姿に似ていることから由来しています。

点検歩廊は、主に工場・プラントや倉庫、工事・建設現場、屋根上、傾斜面、劇場等の大型施設での作業や点検を行う際に、安定した足場として使われます。最近では太陽光発電設備のモジュール点検やメンテナンス用として点検歩廊やキャットウォークの導入が進んでいます。

 

点検歩廊に用いられる鋼材とは?

点検回廊やキャットウォークでよく使用される鋼板には、床材としては主にエキスパンドメタルと有孔鋼板の2種類があります。それぞれに特徴と利点があり、用途や設置条件に応じて選ばれます。ただし用途によっては、縞鋼板やポルカプレート、アンチスリップなどの鋼板も床板として採用されます。

エキスパンドメタル

エキスパンドメタル 足場

エキスパンドメタルは、金属の板に切れ目を入れ、引き延ばして菱形や亀甲型のメッシュ状に加工した鋼板です。この構造により軽量でありながら、歩行に耐える十分な剛性を持ちます。また、メッシュ状の凹凸が自然な滑り止め効果を生み、点検回廊やキャットウォークでの使用に適しています。ただし、網目のピッチが大きい場合、小さな物がすり抜ける可能性があり、また、開口部の鋭い切り口に注意が必要です。

 

有孔鋼板

有孔鋼板は、パンチングメタルと呼ばれる穴の開いた鋼板をC型に曲げ加工したものです。高い剛性を持ち、複数の鋼板を横接続することで、たわみが少ない安定した床面を構成できます。さらに、専用金具で梁に直接固定できるため、施工が迅速かつコスト効率が高いのが特徴です。

エキスパンドメタルと有孔鋼板の違いとしては、主に下記の通りです。

  • つなぎ目: エキスパンドメタルは切り口を直接接続できず、接続金物が露出することがあります。一方、有孔鋼板はフラットに仕上げられるため、金物が露出せず、転倒リスクを軽減します。

  • 施工方法: エキスパンドメタルは、下地を組んでその上に溶接する必要があるため、施工に手間がかかります。有孔鋼板は製品自体の剛性が高く、梁の上に直接固定できるため、スピーディーな施工が可能です。

  • 透過性: エキスパンドメタルは開口率が40%から90%と広範囲で、下のフロアへの透過性に優れていますが、目が粗いと落下物のリスクが高まります。有孔鋼板は開口率が約40%で、ほどよく光を透過しつつ、落下物のリスクが少ない製品が多いです。

 

縞鋼板

縞鋼板(チェッカープレート)は、紡錘形状の突起が直角に配置された床用鋼板です。滑り止めの突起が縞模様についているため、縞鋼板と呼ばれております。表面が水や油に濡れたり、表面に粉体がのったりしても、この突起が滑り止め効果を発揮します。

 

ポルカプレート

ポルカプレート階段

ポルカプレートとは、床用ステンレス縞鋼板の一種で、表面に丸い突起があるステンレス板材です。ポルカプレートの特徴は、主に①高い滑り止め効果、②清掃性、③排水性、④歩きやすさ、⑤台車の走行音の抑制、⑥意匠性があげられます。機能的に特に重要なのが①②③ですが、後述の縞鋼板と比較しても、優れた性能を発揮します。またポルカプレートは規格が決まっており、丸い突起形状の大きさや配置まで、規格で決まっています。

縞鋼板とポルカプレートは、どちらも滑り止めを主な機能としていますが、清掃性や歩きやすさなどの点から、使用用途が若干異なります。

 

>>ポルカプレートと縞鋼板の違いは?板金加工におけるポイントまで解説!

>>ポルカプレートの”ポルカ”とは?

 

これらの鋼板は、設置場所や用途に応じて選ばれ、点検回廊やキャットウォークの安全性と効率を高める役割を果たしています。

また床板のほかには、柱や手すり部分に角パイプや丸パイプが使用され、強度面を向上させるためにH鋼、アングル、チャネルのような型鋼も多く使用されます。

>>ステンレス鋼板の種類とは?材質から仕上げの種類までご紹介!

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点検回廊・キャットウォークの床材選びポイント

点検回廊・キャットウォークの床材を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

1. 歩行しやすさ
2. 落下物の防止
3. 階下の採光
4. 設置環境に合わせた素材選び
5. 高い滑り止め効果
6. 清掃性
7. 排水性
8. 台車の走行音の抑制
9. 意匠性

 

1. 歩行しやすさ

通路としての本来の目的である歩行の安全性と快適さは、最も重視すべきポイントです。工場や倉庫などでは、重機の移動や作業員同士のすれ違いが頻繁に発生します。そのため、滑りにくく、歩きやすい床材を選ぶことが、安全性を高めるために重要です。

ポルカプレートは突起と足元の接地面積が大きいため、チェッカープレートなどと比べると歩きやすく、足の負担を減らすことが出来ます。

 

2. 落下物の防止

点検回廊やキャットウォークが高所に設置される場合、階下への落下物を防ぐことが安全管理の重要な一環です。小さな工具や部品でも、落下すれば機械の故障や製品の不良につながる可能性があります。特に食品工場などでは、異物混入が発生すると製品の回収リスクが生じます。人に当たると重大な怪我を引き起こす危険もあります。床材を選ぶ際には、落下物を防止するために穴のサイズやメッシュの細かさ、穴の有無を慎重に検討しなければいけません。

 

3. 階下の採光

高所に設置されるキャットウォークや点検回廊は、階下の採光にも影響を与えるため、その点も考慮が必要です。例えば、縞鋼板のような穴のない床材を使用すると、階下が暗くなり、作業環境が悪化する可能性があります。特に、閉塞感が出やすくなるため、階下に作業スペースがある場合は、なるべく採光を確保できる床材を選ぶことが推奨されます。エキスパンドメタルやパンチングメタルは、開口率が高く光を透過するため、明るさを保つのに適しています。

 

4. 設置環境に合わせた素材選び

屋外に設置される点検回廊やキャットウォークでは、雨水の排水性が求められるため、エキスパンドメタルのような水はけの良い素材が適しています。一方、屋内で使用される場合には、耐久性や滑り止め効果を重視して、縞鋼板が選ばれることもあります。設置環境に応じて、適切なサイズや形状の床材を選ぶことが、安全かつ効率的な作業環境の実現につながります。また材質についても、特に食品工場や薬品工場のようなクリーンで衛生的な環境が求められ、錆を嫌う環境の場合は、ステンレス製の点検歩廊が多くなります。

 

5. 高い滑り止め効果

安全性の確保において、滑り止め効果は非常に重要です。ドイツ工業規格(DIN)に基づく耐滑り性試験では、最高ランクである「R13」の評価を受けている床材が存在します。この評価は、C.S.R(滑り抵抗係数)において、乾燥状態および湿潤状態での基準値を大幅にクリアしており、BPN(滑り抵抗値)でも基準を上回ることを意味します。このような床材を使用することで、作業者の安全性がさらに向上します。

 

6. 清掃性

点検回廊やキャットウォークの床材は、清掃のしやすさも重要なポイントです。ポルカプレートのような丸い突起形状を持つ床材は、塵埃やゴミが床に付着しにくく、簡単に掃除することができます。箒で掃いた際にゴミがほとんど残らない設計となっているため、清掃作業が効率的に行えます。

 

7. 排水性

清掃性と関連して、床材の排水性も考慮する必要があります。丸い突起形状の床材は排水性が高く、床洗浄時の水捌けが良いのが特徴です。特に、屋外や水を使用する作業環境では、排水性の高い床材を選ぶことで、作業後の水たまりや滑りのリスクを軽減できます。

 

8. 台車の走行音の抑制

台車などの移動が頻繁に行われる環境では、走行音の抑制が求められます。タイヤと接触する面積が広い床材は、走行音を効果的に抑えることができます。また、チェッカープレートと比較して、少ない力で台車を動かすことができるため、使いやすさも向上します。これにより、作業環境の快適性が大きく改善されます。

 

9. 意匠性

最後に、床材の意匠性も考慮する必要があります。水玉模様が特徴的なポルカプレートは、意匠性が高く、公共スペースの床や階段など、多くの場面で使用されています。見た目の美しさだけでなく、機能性も兼ね備えているため、デザイン性を重視する現場にも最適です。

これらのポイントを考慮し、設置環境や使用条件に最も適した床材を選ぶことで、点検回廊やキャットウォークの安全性、機能性、そして美観を高めることができます。

 

 

点検歩廊・キャットウォークの設計・製造・据付におけるポイント

タンク用大型架台

点検歩廊・キャットウォークの製造および据付においては、安全性、設置環境、作業効率を最大限に考慮することが求められます。以下は、その際に重視すべきポイントです。

1. 安全性を最優先にする
2. 設置環境に合わせた点検歩廊のサイズ・形状の検討
3. 設置しやすさと工数の削減
4. 設置のタイミングと足場材の運搬
5. 依頼主の要望に対応した柔軟な設計
6. 鋼材のサイズに合わせた設計
7. 床板の加工技術
8. 一貫した対応体制

 

1. 安全性を最優先にする

点検歩廊においては、墜落や転落などの事故防止が最も重要です。設置現場のリスク要因を詳細に分析し、そのリスクを最小限に抑えるための点検歩廊を設計・製造することが必要です。例えば、滑りやすい環境に点検歩廊を設置する場合、滑り止め効果の高い床材を選び、手すり柵を併設することで、作業者の安全を確保できます。特に、作業者がどこを通行できるかを明確にすることが、事故のリスクを減らすために重要です。

 

2. 設置環境に合わせた点検歩廊のサイズ・形状の検討

点検歩廊の中でも、特に歩行箇所のサイズや形状は、設置環境に応じて適切に検討する必要があります。狭い場所や複雑な作業スペースにおいても、作業の動きやすさや疲れにくさを考慮した設計を行い、作業者の負担を軽減することが安全性の向上につながります。製品によっては、狭いスペースにも適応できる設計が可能であり、無理のない設置が求められます。

 

3. 設置しやすさと工数の削減

点検歩廊の設置のしやすさも重要な要素です。現場での作業効率を高めるためにも、現場加工がなるべく排除された、搬入された部材を可能な限りそのまま組み立てられるように設計された点検歩廊であれば、施工のスピードが向上し、ミスや仕上がりのズレ、溶接不良による事故のリスクも軽減されます。

 

4. 設置のタイミングと足場材の運搬

点検歩廊やキャットウォークの設置を行う際には、床材の運搬方法と設置のタイミングを計画する必要があります。特に高所での作業では、どのように足場材を運び上げるかが重要であり、これにより作業の安全性と効率が大きく影響されます。適切な足場を事前に計画し、作業のスムーズな進行を確保することが求められます。

 

5. 依頼主の要望に対応した柔軟な設計

点検歩廊やキャットウォークの幅や床材選定、手すりの形状など、依頼主の要望に応じてカスタマイズできる柔軟性が求められます。エキスパンドメタルや縞鋼板など、多様な床材の選定が可能であり、設置環境に最も適した仕様を提案することできる施工業者、製造業者が求められます。

 

6. 鋼材のサイズに合わせた設計

点検歩廊やキャットウォークの設計においては、架台や床材のサイズだけでなく、使用する鋼板の標準サイズを考慮することが効率的です。一般的な鋼板のサイズ(例:1000×2000、1219×2438、1524×3048、1524×4000)を基準に設計することで、材料の無駄を減らし、コストを抑えることが可能です。標準サイズを考慮して設計することにより、切断や加工が容易になり、資材の調達や施工の効率化が図れます。

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7. 床板の加工技術

ポルカプレートや縞鋼板の加工には、特別な技術と注意が必要です。特にポルカプレートは丸い突起が特徴であり、これを考慮した切断や曲げ加工が求められます。

 

切断加工

ポルカプレートをレーザー加工する際、突起形状があるためにレーザー光が乱反射しやすく、精度が求められる作業となります。弊社では、凹凸面を裏面にして切断加工を行い、ワークサポートに安定して設置するために、ベテラン技術スタッフが手触りで確認しながら行っています。これにより、高精度な切断加工が可能となり、品質の向上に寄与しています。

 

曲げ加工

ポルカプレートの曲げ加工は、突起形状があるため通常の鋼板よりも難易度が高いです。曲げ加工位置がずれやすく、素材が逃げる方向を考慮しながら慎重に加工を進める必要があります。弊社では、専用の曲げ金型を用いて、複数回に分けて慎重に曲げ加工を行うことで、精度の高い仕上がりを実現しています。これにより、通常よりも時間がかかるものの、高品質な製品を提供することが可能です。

 

8. 一貫した対応体制

点検歩廊やキャットウォークの全体設計から詳細設計、製造、溶接、仮組、現地据付まで、一貫した対応が求められます。設計段階では、鋼材のサイズや設置環境に応じた提案を行い、製造段階では精度の高い加工と溶接を施します。仮組を行うことで、現地での据付作業をスムーズに進行させる準備を整え、最終的に現場での迅速な据付を実現します。この一貫対応により、品質管理が徹底され、プロジェクト全体の効率と安全性が向上します。

 

これらのポイントをしっかりと押さえて、点検歩廊・キャットウォークの製造・据付を行うことで、安全性と効率性を兼ね備えた設備を提供することが可能となります。

 

東京金商によるステンレス点検歩廊 製作・据付の特徴

当サイトを運営する東京金商株式会社では、最大30mを超えるような、食品工場向けのオールステンレス製の点検歩廊の製作実績もございます。大型製品への酸洗いや、ポルカプレートによる階段製作など、点検歩廊や架台に合わせた部品製作から処理工程まで対応しております。

また当社では、各部品図の作成や、組立用の細かな展開図の作成など、製作前の設計段階において積極的なご提案もさせていただきます。一方で後工程についても、協力企業様と連携して仮組から現地据付工事までワンストップで対応しております。

 

ステンレス点検歩廊架台に関する製品事例

続いて、実際に当社が加工したステンレス点検歩廊架台に関する製品事例をご紹介いたします。

大型タンク用大型架台

タンク用大型架台

こちらの製品は、大型タンク用大型架台です。全長13mを超える大型のタンク用の架台になります。無菌室で使用するため、全部品ステンレスで作成し、更に酸洗いを計五回実施しております。製品が大きいため、酸洗いは吹付酸洗いで対応しました。

また、こちらの製品は作業者がタンク内を確認するために、階段を備え付けています。階段部分は縞板で滑りにくいようにしております。この階段部分は曲げ加工を伴うため、押し曲げた際に発生した歪みから錆が発生するため、酸洗いを丁寧に実施しました。

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ステンレス架台仮組

ステンレス架台仮組

こちらは食品業界向けのステンレス架台の仮組の様子です。全体のサイズは20ⅿX30ⅿX4ⅿという超大型ステンレス架台で、ステージ枠と補強用の梁には200X200H型鋼、さらに柱には150X150の角パイプを使用しています。

ユーザーや据付業者の方々が立会いのもとで仮組をいたしました。熟練スタッフによる仮組をいたしますので、このような大きさでは通常数日かかる仮組であっても、当社協力工場にて1日で対応可能です。

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点検歩廊

点検歩廊

こちらの製品は、食品機械関係の企業様向けタンクの点検歩廊です。乾燥装置のモーター5台分の点検歩廊で、以前は脚立で点検していたところ、安全対策のために歩廊を製作することになったとのことです。パイプを使った一般的な手摺・梯子の仕様で、人が歩く歩廊部はポルカプレートを使用して製作しております。

組立後は全長20m程になる分割構造になっており、製作後は手摺・梯子・歩廊の仮組みを行い、検査を実施して最終確認をします。また製品の完成で終わりではなく、お客様の工場納入後は現地据付工事まで対応致しました。この一連の対応を評価いただき、2工場で点検歩廊を採用いただきました。

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当社は、大型のステンレス製缶品の製作を得意としており、製缶板金加工から溶接組立、据え付け工事まで、ワンストップ対応いたします。ステンレス鋼材の在庫保有力、各種鋼材の調達力を強みとして、大型工場内の点検歩廊や架台、階段、工場内敷板まで、まとめて一貫対応することができます。

ステンレス点検歩廊架台の加工業者にお困りの方は、まずはご相談ください。

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