大型ステンレスタンク・水槽の板金加工のポイントとは

今回は、大型のステンレスタンクや水槽における板金加工のポイントをご紹介します。

ステンレス 製缶板金加工.comでは、大型のタンクや水槽のお問い合わせを数多くいただいております。当社が加工する上で、気を付けている板金加工のポイントを実際の経験を踏まえて解説します。

加工のポイント①:水張検査、水圧検査、気密試験の実施

まず最初にご紹介する大型ステンレスタンク・水槽の板金加工の加工のポイントは、水張検査、水圧検査、気密試験の実施です。これらはステンレスタンクや水槽から流体の漏れが発生しないかを確かめるためには、必要不可欠な検査・試験になります。

後述しますが、大型のタンクや水槽を製作する際に、加工が難しいとされるのが溶接加工です。製品サイズに合わせて各板金部品も大型になるため、製品が大きければ大きいほど溶接による歪み等が発生してしまう確率が高まります。また、タンクや水槽には、継手やフランジを取り付ける場合も多いかと思います。このような継手やフランジ部分も、正確に溶接ができていないと液体の漏れの等の溶接の欠陥に繋がってしまいます。このように大型になればなるほど、高いレベルの溶接技術が求められると同時に、溶接の欠陥の可能性が高まります。

このような理由から、水張検査や水圧検査は大型のタンクや水槽を納品する前に必ず行う必要があります。しかし、そのような検査を行うためには、大型の製缶品を保有し検査を行うスペースや、各種専門的な検査器具などが必要になります。そのようなスペースや検査器具が確保できていない場合、適切な検査を行うことができません。

また、水槽やタンクを水張検査や水圧検査をした場合、納品前に内部を乾かす必要がございます。水滴を残したままにしてしまうと、錆びの原因となる可能性もありますので、しっかりと乾かす必要がある点に注意が必要です。

加工のポイント②:歪みの少ない溶接を実施

次にご紹介する大型ステンレスタンク・水槽の板金加工のポイントは、歪みの少ない溶接を実施するということです。

上述したように、製品が大型になればなるほど、溶接を行う板金の母材も大型になるため、その分だけ溶接による歪みも発生しやすくなります。そのような歪みによる隙間の有無を確かめる水張検査も勿論重要ではありますが、そもそもそのような歪みが発生しないように加工することは更に重要といえます。

加工のポイント③:精度の高い曲げ加工の実施

大型ステンレスタンク・水槽の板金加工のポイントの3つ目は、ロール曲げをはじめとした精度の高い曲げ加工の実施です。当社はR付きの形状や各種複雑な形状の曲げ加工についても、CAD展開を行うことができるため、精度の高い曲げ加工を実現することができます。

実際、曲げ加工後に歪みがある場合、流体の漏れや破損に繋がってしまいます。そのため、精度の高い曲げ加工、そのためのCAD展開は重要なポイントの一つです。

加工のポイント④:浸透探傷試験(カラーチェック)の実施

ステンレスタンクや水槽における、浸透探傷検査(カラーチェック)は非常に重要です。ステンレスタンクや水槽の製作の際に最も注意すべきは、製品内部の傷がついてないこと、また液体の漏れが発生しないことです。

もし、製品内部に傷がついてしまうと、そこから浸食が始まり液体漏れが発生してしまう可能性があります。また、食品業界や医薬品業界では、ステンレスタンクや水槽で使用する液体は飲料や薬品など水以外にも様々かと思います。そのような場合、製品内部に傷があった際に、そこから細菌が繁殖してしまう危険性がございます。

このような、製品内部の傷がないかどうかを確かめる方法が、浸透探傷検査(カラーチェック)です。浸透探傷検査に関する詳細は下記のよくある質問をご確認ください。

>>浸透探傷試験はどのような目的で行われる試験ですか?
>>浸透探傷試験に危険性はありますか?
>>浸透探傷試験(カラーチェック)と他の非破壊検査を比較した場合の利点・欠点はどうなりますか?
>>浸透探傷試験(カラーチェック)に資格はありますか?
>>浸透探傷試験(カラーチェック)はステンレス製品の検査でなぜ使われるのですか?
>>浸透探傷試験(カラーチェック)に必要な器具はなんですか?

浸透探傷検査(カラーチェック)は大型の構造物や大型部品の部分探傷に最適です。

また、エアゾール製品(噴射ボタンを押すことで内容液と噴射剤の混合物が噴射口から一気に放出されるスプレータイプ)の探傷剤はとても使いやすく、携帯性にも優れることからステンレス製品への探傷試験として幅広く採用されています。

浸透探傷検査(カラーチェック)については、下記記事でも詳しく解説しておりますので、是非こちらも合わせてご覧ください。

>>浸透探傷検査(カラーチェック)とは?

東京金商の大型ステンレスタンク・水槽の板金加工の強み

次に、ステンレス 製缶板金加工.comを運営する東京金商における大型ステンレスタンク・水槽の板金加工の強みをご紹介します。

東京金商の強み①:タンク・水槽の足部分含めた製品全体を一貫製作対応

当社はタンクや水槽の足部分を含めた製品全体の製作まで一貫対応しております。パイプ、アングルの在庫を多数持ち、加工設備・技術を保有する当社だからこそ、足部分含めた製品全体の一貫対応が可能です。

 

東京金商の強み②:底や蓋で使用される鏡板の穴あけまで当社で実施可能

底や蓋で使用される鏡板は、その傾斜から真円度を確保した穴あけ加工が難しいとされています。当社では、そのような鏡板の穴あけ加工まで自社で対応可能です。このような穴あけ加工の多くはレーザーで加工を行いますが、精度を出すには熱影響による穴寸法の変形や肉厚による内径・外径の差などに注意する必要があります。当社ではこのよな加工の実績が多数ございます。

 

東京金商の強み③:長尺幅広のレーザー切断加工機で切断可能

当社は最大幅3mの板の切断が可能な長尺幅広のレーザー切断加工機を保有しております。このような大型の切断加工機を自社で保有しているため、大型の製缶品の製作に対応することができます。当社の設備について、下記ページで詳しく紹介しておりますので、是非こちらも合わせてご覧ください。

>>「設備情報」はこちら

 

東京金商の強み④:各種検査まで一貫対応可能

当社では、上述した浸透探傷検査(カラーチェック)、水張検査、水圧検査に一貫対応しております。大型のタンクや水槽でも問題なく、各種検査に対応することができます。当社は材料調達から加工、そして検査まで一貫対応が可能です。一貫対応することで、コストを抑え、納期を短縮することができます。

詳しくは下記記事でも解説しておりますので、是非こちらも合わせてご覧ください。

>>自社工場での1次加工による納期短縮のご提案

 

東京金商の強み⑤:大型加工品をお客様の代わりに保管可能

当社は、最大14mの大型加工品の製作や様々な材料を在庫していることから、加工品ならびに材料を保管できる広範囲の保管スペースをご用意しております。広い工場の敷地がないお客様にとっては、大型加工品の保管しておくための充分なスペースが確保できないという場合もあるかと思います。

当社がお客様の代わりに加工品を保管することができますので、安心してご依頼いただくことができます。

詳しくは、下記記事でも紹介しております。

>>最大14mサイズの加工品の製作実績

東京金商の強み⑥:分割設計による提案が可能

当社は一体品の図面から、部品を分割した設計を行うことで、加工の工数などを減らしてコストダウンを実現するご提案を行うことができます。お客様からいただいた図面を参考に、当社でどのように加工するのが最適か再度現場目線で考え、ご提案をいたします。

実際に分割設計を行った事例を下記にて紹介しておりますので、是非こちらも合わせてご覧ください。

>>一体物カバー部品の分割設計提案

また、製品全体の図面や全体の組立図はあるが、各部品ごとの詳細設計がない場合などについても、当社にて各部品図の作成や細かな組立のための展開図を作成することが可能です。当社で詳細の設計はご用意し、お客様とすり合わせをしながら、製作することができます。

東京金商の強み⑦:豊富な在庫を保有し、短納期対応が可能

商社からスタートした当社は、材料の調達を得意としており、メーカー様と協力をして常に定尺を在庫しているため、他社と比較をしても調達にかかる日数分短納期で対応することができます。また、材料調達はもちろん、社内で一次加工を実施したうえで、80社以上の加工における協力企業ネットワークを活用し複雑な加工や仕上げまで一貫で対応することができます。

このような、体制を構築している当社だからこそ、大型の製缶品でも一貫対応でき、短納期対応を行うことができます。下記に詳細をご紹介しておりますので、是非こちらも合わせてご確認ください。

>>材料の豊富な在庫による短納期対応

>>在庫一覧

>>80社以上からなる加工業者ネットワークを保有

東京金商の強み⑧:大型の製缶品でも酸洗い等の仕上げを実施可能

一般的に大型の製缶品の場合、酸槽に付け込む形での酸洗いの実施が難しいことがございます。しかし、当社は部分酸洗いという方法で酸洗いを実施可能なため、大型の製缶品でも問題なく酸洗いを行うことができます。当社の酸洗いについては、下記記事でも解説しておりますので、是非こちらもご参照ください。

>>酸洗いとは?ステンレスの酸洗いの注意点まで解説!

また、当社で実施した大型の製缶品の酸洗いの事例も下記にて紹介しております。こちらタンクや水槽ではございませんが、タンクや水槽の場合でも同じように酸洗いの実施ができますので、そのようなお悩みございましたら、是非ご相談ください。

>>酸洗いの事例:車両洗浄装置フレーム

大型ステンレスタンク・水槽の製品事例

大型タンク

 

こちらの製品は、産業向け設備で使われる大型のタンクになります。材質は耐蝕性に優れたSUS316Lを使用、厚みは9㎜、サイズは外径3m×長さ18m、重さ約13tの大型製品です。

これだけの大型製品を製作するためには技術はもちろん必要ですが、それ以上に製作出来る設備や環境が必要になります

>>詳細はこちら

し渣分離脱水機水槽

し渣分離脱水機水槽

 

こちらの製品は、水処理プラント業界向けで汚水処理時のゴミを分離するための装置の角水槽になります。
今回のサイズは2500W×1200D×2000Hになりますが、内容により長さ1500~3000㎜、高さ1500~3500㎜くらいまでと様々な種類があり、本体板厚は3㎜~6㎜、材質は基本SUS304ですが用途によりSUS316L仕様の場合もあります。

>>詳細はこちら

消防用水タンク

消防用水タンク

 

こちらの製品は、消防車内に設置する水を貯蔵するステンレス製のタンクです。
製品寸法は、縦1500L×横800L×高さ1200H、本体板厚5㎜、上部は人が乗り降りするため縞鋼板4.5㎜を使用となります。消防設備に使用されるため、弊社にて消防車の組み立て工場に足を運び、お客様のご要望を詳細までお伺いした上で製作いたしました。

>>詳細はこちら

脱脂タンク

脱脂タンク

こちらは脱脂タンクの製品事例です。お客様の社内加工だけでは納期までの完成が厳しいということで、製品製作の一部数量をお手伝いしました。

本体は板厚3mmの2B材を使用し、補強材には同じく板厚3mmの2B材をアングル曲げした物を数種類使用し、脱脂タンクを図面品2台、図面勝手反対品1台の計3台を受注製作しました。

>>詳細はこちら

貯水タンク

回転ドラム

 

こちらの製品は、産業用工場で使用される貯水タンクです。
材質は、SUS304、サイズは外径2m×長さ2.3m、材料は6mmの鋼板、9mmの底板、アングル外巻きフランジ、パイプ、JIS10kフランジを使用して製作しております。胴板部は、1枚の板で対応することが難しく、周長を胴板同士を溶接による繋ぎ合わせにて対応いたしました。

>>詳細はこちら

 

 

大型ステンレスタンク・水槽に関するお困りごとはステンレス製缶板金加工.comまで!

ステンレス製缶板金加工. com を運営する東京金商株式会社では、多くの加工外注先を擁しており、タンクや水槽をはじめとした大型のステンレス製缶板金加工品の製作実績が多数ございます。

納品先のお客様は、産業機械・プラント設備・食品機械・半導体電子部品・建築住設といったように多岐にわたります。これは当社ならびに加工外注先の幅広い対応力によって実現できております。当社が手掛ける加工品の中には、平面度・真直度・平行度など厳しい幾何公差ならびに寸法精度要求をいただいているものもありますが、要求通りの精度要求を実現してきました。大型の加工品は、歪み・反りなどが発生しやすく、製造にあたっては図面以上の工夫をする必要があります。当社の長い歴史の中で培ってきた経験と加工技術によって、精度の高い大型のステンレス製缶板金加工品の加工を可能にしております。

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ステンレスタンク・水槽 技術ハンドブック