フランジとは、配管や機器を接続するための「つば状」の部品であり、ボルト・ナットとガスケットを用いて液体や気体の漏れを防ぎます 。フランジの主な用途 配管同士の接続と密閉 、ポンプやバルブといった機器との接続 、分解・再組立てによる保守点検の容易化 、配管末端の閉鎖(ブラインドフランジ) が挙げられます。
そして、ステンレス鋼でできたステンレスフランジが選ばれる主な理由は、特に「流体の種類」や「環境」における耐食性の要求です。
本記事では、フランジの基本的な役割や主な用途はもちろん、フランジの代表的な種類 、JIS やANSI といった主要規格、フランジ接続がもたらすメリット、材質の選定ポイントまで、詳しくご紹介します。
フランジとは?

フランジとは、配管や機器などを接続するために、端部に設けるつば状の部品のことです。 ボルトとナットで締め付け、その間にガスケットを挟み込むことで、液体や気体の漏れを防ぎ、確実な接続を可能にします。
フランジの主な用途
フランジは、その構造から以下のように多様な用途で使用されています。
配管の接続と密閉
2つの配管をボルトとナットで締め付け、間にガスケットと呼ばれるパッキンを挟むことで、気密性の高い接続部を形成します。これにより、水、油、ガスなどの流体が漏れ出すのを防ぎます。
機器の接続
ポンプ、バルブ、圧力容器、タンクなどと配管を接続するために使用されます。これにより、機器の設置や交換が容易になります。
システムの保守・点検
フランジ接続された箇所は、必要に応じて分解・再組み立てができるため、配管内部の清掃や機器の点検・修理が簡単に行えます。
配管の末端の蓋
ブラインドフランジと呼ばれる蓋状のフランジは、配管の末端を閉鎖するために使用されます。
配管関連の基礎知識は、下記をご覧ください。
>>>TP-AとTP-Sの違いとは?ステンレス鋼鋼管の種類について解説!
>>ステンレスパイプの切断方法とレーザー切断加工のポイントを解説!
主なフランジの材質
フランジの材質は、使用される環境や流体の種類、圧力、温度などによって、主に以下の材質が使い分けられます。
炭素鋼
最も一般的に使用される材質で、強度とコストパフォーマンスに優れているため、幅広い産業で用いられます。JIS規格では、SS400や、鍛造品のSFVC2Aなどが規定されています。
ステンレス鋼
耐食性に優れているため、化学プラントや食品工場など、錆や腐食を避けたい用途で使われます。代表的な種類として、SUS F304、SUS F316などがあります。
合金鋼
高温・高圧環境に耐える高い強度を持つため、火力発電所や石油化学プラントなどで用いられます。
鋳鉄
JIS B 2239 で規格されており、比較的安価で一般配管などに使われます。
銅合金
JIS B 2240 で規格されており、特に耐蝕性や熱伝導率性が求められる配管に用いられます。
アルミニウム合金
JIS B 2241 で規格されており、軽量なため、航空宇宙や自動車産業などで使われます。
塩化ビニール(PVC)
耐薬品性に優れ、錆びることがないため、腐食性の高い流体を扱う配管に用いられます。
代表的なフランジの種類
フランジには、接続方法や形状によっていくつかの代表的な種類があります。
溶接式フランジ (Weld Neck Flange)

テーパー状のハブを持っており、配管に溶接して接合します。応力分散に優れ、高圧用途に適しています。
差し込み溶接式フランジ (Socket Weld Flange)

配管をフランジのソケット部分に差し込み、周りを溶接して接合します。小口径の配管に適しています。
スリップオンフランジ (Slip On Flange)

配管をフランジの内径に通し、両側を溶接して接合します。溶接式よりも取り付けが簡単です。
ねじ込みフランジ (Threaded Flange)

フランジの内径にねじが切られており、配管のねじと締結します。小径の配管や溶接ができない場所、低圧用途で使われます。
遊合形フランジ (Lap Joint Flange、Loose Flange)

差し込み式フランジの一種で、溶接した突合せ溶接式フランジの環と、回転可能な遊合フランジを組み合わせたものです。配管の芯合わせがしやすい利点があります。
ブラインドフランジ (Blind Flange)

接続する穴がない蓋状のフランジで、配管の末端を閉鎖するために使用されます。
主なフランジの規格
フランジの主な規格には、日本で広く使われているJIS、米国で一般的なANSI/ASME、およびヨーロッパで用いられるEN (旧DIN) などがあります。
JIS規格(日本)
JIS B 2220: 鋼製管フランジ
特徴: 日本の産業活動における標準規格です。配管や機器の接続に用いられ、圧力強度(呼び圧)と外形寸法 (呼び径) が細かく規定されています。
呼び圧力: 5K、10K、16K、20K、30K、40K、63Kといった単位「K」で表されます。
主なフランジの種類: スリップオン溶接式 (板フランジ、ハブフランジ)、突合せ溶接式、ねじ込み式、遊合形、閉止フランジなどがあります。
(補足) 東京金商株式会社で取り扱う閉止フランジや上水道フランジを含め、在庫のフランジはすべてこのJIS規格に基づいています。
ANSI 規格(米国)
ANSI/ASME B16.5: 管フランジおよびフランジ付き管継手
特徴: 米国機械学会(ASME) が定める規格で、米国だけでなく世界中で広く使われています。
圧力クラス: 150 LB、300LB、600LBなど、「LB」 (ポンド)で表されます。
フランジの種類: ウェルドネック、スリップオン、ソケットウェルド、ねじ込み、ラップジョイント、ブラインドなどがあります。
EN 規格(欧州)
EN1092: 配管、バルブ、継手、付属品用円形フランジ
特徴: ヨーロッパで使用される規格で、旧DIN規格に代わるものとして制定されました。
圧力クラス: PN6、PN10、PN16、PN25、PN40など、「PN」(公称圧力)で表されます。
フランジのメリット
フランジ接続には、施工性や信頼性、そして汎用性の高さなど、多くのメリットがあります。
メンテナンス・施工性の向上
取り付け・取り外しが簡単
溶接のように一度接合すると分解できない方法とは異なり、ボルトとナットを外すだけで配管や機器を簡単に接続・分解できます。点検・清掃が容易
フランジで接続された箇所から内部を点検したり、清掃したりすることが可能です。パイプラインの一部に不具合が起きた際も、その部分だけを切り離して修理・交換ができるため、作業効率が上がります。狭い場所での施工が可能
広い作業スペースがなくても、ボルト締めだけで組み立てられるため、狭い場所での配管工事にも適しています。
信頼性・耐久性の高さ
高い気密性と漏れ防止
フランジの間にガスケットというシール材を挟み、ボルトで締め付けることで、高い気密性を確保します。これにより、高圧・高温の環境でも流体やガスの漏れを防ぐことができ、化学プラントや石油・ガス産業などで重要な役割を果たします。高い強度と耐久性
ボルト締めにより、圧力や振動、温度変化に強い、頑丈で信頼性の高い接続を実現します。緩みにくい
ボルトとフランジによって面で締結するため、一般的なねじ込み継手よりも振動などによる緩みに強い接続が可能です。
汎用性の高さ
多様な接続に対応
フランジは標準化された規格(JISなど) に基づいており、異なるメーカーの配管や機器でも接続が可能です。多岐にわたる用途
配管、バルブ、ポンプなど、さまざまな機器の接続に利用でき、産業用から一般配管まで幅広く活用されます。さまざまな環境に対応
材料や種類を選ぶことで、高圧・高温だけでなく、腐食性の高い環境にも対応できます。
フランジの材質選定におけるポイント
フランジの材質を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。
流体の種類
流体が水、油、ガス、薬品のいずれであるか、腐食性があるかなどを確認します。温度と圧力
高温・高圧になるほど、強度や耐熱性が高い材質が必要になります。環境
設置場所の雰囲気や、フランジにかかる外部からの負荷も考慮します。コスト
材料費や加工費。
ステンレスフランジが使用される用途とは?
そして、ステンレス鋼でできたステンレスフランジが選ばれる主な理由は、特に「流体の種類」や「環境」における耐食性の要求です。
ステンレスフランジは、耐食性に優れているため、化学プラントや食品工場など、錆や腐食を避けたい用途で使われます 。またステンレスの中でも代表的な種類として、SUS F304、SUS F316などが挙げられます 。
東京金商のステンレスフランジ – 豊富な調達力
東京金商株式会社では、ステンレスフランジの調達において「仕入れ先の多さ」を最大の強みとしています。
特にフランジの大手メーカーと呼ばれる2社と付き合いも長く関係性もあるため、工場在庫が無い場合でも直送にてすぐ対応して頂けます。 以前、市場に無さそうな特殊なフランジも、当社の多様な仕入れ先ネットワークを駆使して探し出し、手配出来たという実績もございます。
仕入れ段階からの最適なサイズ選定や、メーカー様への交渉、調達まで当社が一貫して行うことで、お客様の管理工数の削減やコストダウンのご提案を実現しております。豊富な在庫による短納期対応と、埼玉・東京・北関東エリア有数の調達力で、東京金商はお客様の多様なニーズにお応えします。
東京金商のステンレス製配管パイプにおける特徴
次に、ステンレス 製缶板金加工.comを運営する東京金商におけるステンレス製配管パイプおける特徴をご紹介します。
材料調達~加工~溶接~検査~据付まで、ステンレス製缶板金品を一貫製作対応
当社はタンクや水槽といった大型ステンレス製缶板金品の製作について一貫対応しております。鋼板、パイプ、アングルの在庫を多数持ち、加工設備・技術を保有する当社だからこそ、材料調達から加工、溶接、検査、据付納品まで、製品全体の一貫対応が可能です。
社内で一次加工を実施したうえで、80社以上の加工における協力企業ネットワークを活用し複雑な加工や仕上げまで一貫で対応することができます。溶接についても、製品に求められる機能や形状、QCDバランスをトータルで考慮した上で、最適な協力企業の選定をいたします。
また当社では、浸透探傷検査(カラーチェック)、水張検査、水圧検査に一貫対応しております。TIG溶接後の大型のタンクや水槽でも問題なく、各種検査に対応することができます。
大型加工品をお客様の代わりに保管可能
当社は、最大14mの大型加工品の製作や様々な材料を在庫していることから、加工品ならびに材料を保管できる広範囲の保管スペースをご用意しております。広い工場の敷地がないお客様にとっては、大型加工品の保管しておくための充分なスペースが確保できないという場合もあるかと思います。
当社がお客様の代わりに加工品を保管することができますので、安心してご依頼いただくことができます。

分割設計による提案が可能
当社は一体品の図面から、部品を分割した設計を行うことで、加工の工数などを減らしてコストダウンを実現するご提案を行うことができます。お客様からいただいた図面を参考に、当社でどのように加工するのが最適か再度現場目線で考え、ご提案をいたします。特に溶接が必要な組立品の場合は、どこが溶接個所なのか、ただ図面指示の通りに溶接するのではなく、全体を俯瞰した上で最適な溶接提案もいたします。
また、製品全体の図面や全体の組立図はあるが、各部品ごとの詳細設計がない場合などについても、当社にて各部品図の作成や細かな組立のための展開図を作成することが可能です。当社で詳細の設計はご用意し、お客様とすり合わせをしながら、製作することができます。
豊富な在庫を保有し、短納期対応が可能
商社からスタートした当社は、材料の調達を得意としており、メーカー様と協力をして常に定尺を在庫しているため、他社と比較をしても調達にかかる日数分短納期で対応することができます。
このような、体制を構築している当社だからこそ、大型の製缶品でも一貫対応でき、短納期対応を行うことができます。
ステンレスパイプ加工に関する製品事例
続いて、実際に当社が加工したステンレスパイプのレーザーカットに関する製品事例をご紹介いたします。
パイプスキマ(脱水ろ液搔寄機)
こちらの製品はパイプスキマ(脱水ろ液搔寄機)です。
パイプを酸素ガスを使用し、レーザー加工で穴あけ加工(切断加工)を行っております。
酸素ガスを使用することで、スパッタが発生する場合がありますが、本製品は酸洗いを行うことで、スパッタを綺麗にしています。窒素ガスを使用しレーザー加工を行うことも可能ですが・・・
Y字継手
こちらはタンクのノズル部分に使用される配管となります。
SUS304溶接管76.3X5.2のパイプにネジ加工を施しその後レーザー切断機により穴加工及び切り欠きをおこなったY字の継手製品です。
加えて、枝管となるパイプもレーザー切断機によって角度を合わせ、切断を可能にした製品となっております。
TP‐A製 丸パイプ穴あけ加工

こちらはTP-A 150 SUS304製の丸パイプに四方から穴あけ加工をした製品です。
このような穴付きの丸パイプを製造する方法はいくつかありますが、平板にあらかじめ丸穴を開けてからパイプ形状に曲げる方法があげられます。しかしこの方法では穴が曲がってしまうため、パイプに他部品を突き合わせる場合は、要求精度に満たなくなってしまいます。
また機械加工で丸パイプに穴あけ加工をする方法もあります。しかし機械加工による穴あけの場合は、小さい穴を開けてから徐々に穴径を広げる工程になります。この方法では、どうしても時間も費用もコストがかかってしまう点が問題となりますので、当社ではこの問題を解決するために…
TEE用パイプ配管
こちらはSUS304 TP-A Φ216.3×3tのTEE用のパイプ切断加工です。バンドソーで必要長さに切断後レーザーで穴開け、切欠きをしています。
なおこちらの事例においては母管と枝管は同径のものを使用しておりますが、母管に比べて枝管が小さい物までご要望に合わせて穴あけ切欠きの加工を施すことが出来ます。
製紙装置向けステンレスパイプ
こちらは製紙関係の工作機械向けのステンレスパイプです。
サイズは165.2φ×5×4000で、写真よりも実物を長く感じる製品です。
2本のパイプが排出と巻取りのセットで使用されるため、パイプ径や穴精度が非常に厳しい製品でした。
また穴は片側の表面のみ必要で、裏側の穴加工をしないために、またスパッタが付かないようにするために、中に丸棒などを通すことで対策しながら加工いたしました。
芯ずれ 大径パイプレーザー加工
こちらの製品は、プラント設備業界で使用されるステンレス(SUS304)製の芯ずれ大径パイプです。サイズは300A×1500mmです。
お客様からは、芯ずれによる特殊な形状を持つパイプの製作をご依頼いただきました。芯ずれが原因でパイプが涙目の形状になり、通常の加工方法では精度の高い穴あけが困難です。そこで、東京金商ではレーザー加工を用いて高精度な穴あけ加工を実現しました。
ステンレスパイプ加工ならステンレス製缶板金加工.comまで!
当社は、ステンレスパイプの穴開け加工技術や、パイプ加工に関する技術提案力に自信があります。お客様の製品の使用用途を詳細にお伺いすることで、最適なパイプ加工の選択や技術提案をすることができます。また当社ではステンレスパイプ配管の加工だけでなく溶接まで一貫対応しております。ステンレスパイプの加工にお困りの方は、まずはご相談ください。





























